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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
すると武士は怪訝そうな表情で、大海の顔を覗き込む。
「お前、その髪色からするともしや、秀吉様がいたく気に入ったとか話していた、二喬の姉妹か?」
「宴の時、あたし達の顔を見てなかったのかい?」
「俺は、あの宴には一度も参加していない。いかな秀吉様の策と言えど、気分のいいものではないからな」
秀吉が大々的に紹介した二人を知らないのだから、おそらく武士の言葉は真実である。大海はそれを聞くと、すぐに頭を下げて謝った。
「あたし、そうとは知らずさっき暴言を……申し訳ない」
宴に参加した武士に侮蔑されたくないのは本音だが、参加してないならば別である。知らなかったとはいえ、十把一絡げに皆下賎だと思ってしまったのは大海の否である。するとますます武士は複雑な表情を浮かべ、呟いた。
「訳の分からない女だな、お前は」
大海を覗く瞳は、きつい目だが透明である。名前も知らない出会ったばかりの武士だが、大海は彼の人となりが、瞳から読み取れるような気がした。
「……同じ三国志なら、二喬よりも黄夫人を目指してみればいい。ちょうど赤い髪も一緒だしな」