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戦国ラブドール
第18章 プロポーズ
大柄な大海を収める器の大きさと、温もりの心地良さ。目を閉じれば、そのまま身を預けたくなってしまう。首一つを動かすだけで、この腕は自分のものになる。だが大海は、その首を振らずに高虎から離れた。
「ここで、あたしに出来る事が何か――あたしは、まだそれを見つけていない。秀吉と、約束したんだ。それを、きちんと見つけるって」
「お前は俺のために生きればいい。そうは思えないか?」
「……分からない」
是でも否でもない答えは、高虎の希望を絶った訳ではない。だがそれは、望んだ答えでもなかった。
「お前、確か市松と同い年だったな。いつまでも分からないで済まされる年じゃないぞ」
「それは……分かってるよ。いつまでも引き伸ばしにしてたら、あんたにも失礼だ」
「なら、次に会う時まで答えを出せ。約束だ」
高虎は襖を開くと、大海に手を差し出す。
「妹が気になるんだろう? 屋敷まで送って行ってやる。ついてこい」
大海は少しためらうが、答えを求めるため、一歩踏み出す。高虎の手を取ると、共に侍女の屋敷まで戻った。