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戦国ラブドール
第18章 プロポーズ
屋敷に戻り高虎と別れ、部屋まで戻れば、小夜が飛びついてくる。小夜の縋り泣く姿に、大海は胸が痛んだ。
「お姉ちゃん、良かった……! このまま帰ってこなかったら、どうしようかと思った……」
「心配かけたね、ごめんよ」
「お姉ちゃんが悪い訳じゃないのに、謝らなくてもいいの。ねぇ、今日はずっと小夜のそばにいてくれるよね?」
小夜は潤んだ瞳で大海を見上げ、懇願する。半兵衛の事が一瞬頭をよぎるが、泣いた小夜を一人放って、また外を出歩く気にはなれなかった。
(半兵衛殿も、小夜のためなら許してくれるよね……)
そう考えた大海は、すぐ小夜の問いに頷く。すると小夜はようやく笑みを取り戻し、大海の胸に顔を埋めた。
「お姉ちゃん、ずっと小夜と一緒にいてね」
「たった二人の姉妹じゃないか。もちろん、ずっと一緒だよ」
「約束だよ? 破ったら、閻魔様に舌を引っこ抜かれちゃうからね」
縋る小夜を抱き締め、頭を撫でるとふと違和感を覚える。鼻をくすぐる小夜の香りが、やけに甘いのだ。
(誰かから、香でももらったのかな)
年頃の娘が香りに気を遣うのは、不自然な事ではない。侍女の間で流行りでもあるのかと、大海は首を傾げた。