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戦国ラブドール
第18章 プロポーズ
だが小夜に、動く気配はない。話をしても譲らない小夜は初めてで、大海は目を丸くした。
「小夜……」
「お姉ちゃんは優しすぎるわ! お姉ちゃんが強く言えないなら、わたしが守る!」
「ありがとう、小夜。じゃあ、話を聞く間、隣にいてくれるかい? あたしが間違えそうになったら、止められるように」
「話なんて聞かなくてもいいじゃない。どうしてそこまでするの」
「思うところがあって、わざわざ来たんだ。話も聞かずに追い返したら、ずっと靄が残っちまうだろ?」
小夜は眉間に皺を寄せ、下唇を不満げに突き出す。だが大海も譲らないと悟ると、大海の腕に抱き付いた。
「お姉ちゃんにちょっとでも触ったり変な事を言ったら、人を呼ぶから」
小夜が落ち着くと、市松は大海の前に立つ。後ろでは虎之助、横では小夜が目を光らせる中、市松は後ろ手に持っていた菊の花束を大海に差し出した。
「これ……どうしたんだい?」
色とりどりの菊に、大海は驚き市松に訊ねる。
「こんな事で詫びになるとは思わないが、俺の気持ちだ。受け取って欲しい」