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戦国ラブドール
第19章 愛憎
「いや、ちり紙と違って使い捨てはしないんですよ。鼻をかんだ後そのまましまって、何度も使うとか」
説明していく内に、大海の眼差しが疑いに変わり行長をじとりと睨む。それに気付くと、行長は慌てて弁明した。
「いや、私はちり紙代わりに使ってないですから、綺麗なままですよ!? 鼻水はついてませんから! ほら、こんな貴重な品をぞんざいに扱ったらバチが当たるでしょう!?」
「分かった分かった、そんなに焦らなくても分かったから。そりゃそうだよね、いくらちり紙だって言われても、こんな良い物使えないよ」
「そう、ずっと大切に身に付けていた物なんですよ。仮にちり紙として使っていたとしても、それで涙を拭く程無神経じゃありませんよ」
「……でも、そんな大事にしてた物を出しちゃって良かったのかい? それこそちり紙で拭いても構わなかっただろうに」
大海が何気なく訊ねれば、行長は目を丸くする。そして素朴な目線から逃れるように目を逸らすと、肩をすくめた。
「出してしまった後に言っても、仕方ないですわ。汚いものを拭いた訳でもなし、問題はないでしょ」