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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
「あの、何かご用ですか? 入ってください」
頬を赤く染め、歓迎し中へ引き入れたのは小夜の方だった。現れた武士は、先程書庫で会った武士よりもさらに女性のような美しい顔立ちをしている。小夜が一瞬で心を奪われ、女の目に変わる事も無理はなかった。
「突然ごめんね。僕は大谷吉継、秀吉様の子飼いの一人なんだ」
一方大海は、その吉継の自己紹介に身を固くする。子飼いという単語は、大海を自由にしても許される免罪符なのだから。
「噂通り、綺麗な姉妹だね。手も細くて白いし、髪も」
吉継は小夜の手をそっと握り、髪を撫でる。そして部屋の隅で立ったままの大海の前へやってくると、大海を見上げた。
「こっちも、噂通りの大女だ。僕は決して背が低い訳じゃないんだけれど」
吉継もまた、大海より僅かに背が低い。小夜は褒めるが、大海は蔑む。もしや吉継は小夜が目当てなのかと警戒を強めた瞬間、吉継は大海の手を取った。
「ちょっと来てもらえるかな。この間柿をもらったんだけど、食べきれなくて。持って行ってくれたら助かるんだけど」
「か、柿?」