この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
「でも、さっきは随分と小夜に馴れ馴れしかったじゃないか」
「それは、ほら。君を連れ出そうとして君ばっかり褒めていたら、あの子の矜持が折れちゃうから。それにああ言っておいた方が、君も部屋に戻りやすいだろうし」
吉継は大海の肩を押し、床へと体を倒す。小夜の事ばかりで自分の立場などすっかり忘れていた大海は、何も抵抗出来なかった。
「君はこうして無警戒でやってくるし、最善の選択肢だったと思うよ」
のしかかる吉継の体は、やはり男だからなのか重い。帯に手を掛けられた大海は、とっさに叫んだ。
「――市松と虎之助の許可がない!」
すると吉継の手が、ぴたりと止まる。その隙へねじ込むように、大海はまくし立てた。
「あたしは二人に下げ渡されたんだ、二人の許可なく抱かれる訳にはいかないよ。義理立てってもんがあるからね」
だが吉継はすぐに気を持ち直し、大海の髪を撫でる。
「それ言ったの、志麻さんだよね?」
「え……」
「志麻さんの個人的見解、でしょ? 君が聞いた秀吉様の命令は、なんだった?」
「そ、それは……」
「秀吉様は、子飼いに差を付けてえこひいきする人じゃないよね?」