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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
 
「でも、さっきは随分と小夜に馴れ馴れしかったじゃないか」

「それは、ほら。君を連れ出そうとして君ばっかり褒めていたら、あの子の矜持が折れちゃうから。それにああ言っておいた方が、君も部屋に戻りやすいだろうし」

 吉継は大海の肩を押し、床へと体を倒す。小夜の事ばかりで自分の立場などすっかり忘れていた大海は、何も抵抗出来なかった。

「君はこうして無警戒でやってくるし、最善の選択肢だったと思うよ」

 のしかかる吉継の体は、やはり男だからなのか重い。帯に手を掛けられた大海は、とっさに叫んだ。

「――市松と虎之助の許可がない!」

 すると吉継の手が、ぴたりと止まる。その隙へねじ込むように、大海はまくし立てた。

「あたしは二人に下げ渡されたんだ、二人の許可なく抱かれる訳にはいかないよ。義理立てってもんがあるからね」

 だが吉継はすぐに気を持ち直し、大海の髪を撫でる。

「それ言ったの、志麻さんだよね?」

「え……」

「志麻さんの個人的見解、でしょ? 君が聞いた秀吉様の命令は、なんだった?」

「そ、それは……」

「秀吉様は、子飼いに差を付けてえこひいきする人じゃないよね?」
 
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