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戦国ラブドール
第21章 急転
小夜が泣き疲れて眠ったのを確認すると、大海は志麻と半兵衛の元へ向かう。そして部屋に入れば、そこには二人だけではなく孫六も待ち構えていた。
「孫六、どうしてここに……なんだか、随分久し振りな気がするよ」
相変わらず孫六は、幼い顔立ちに似合わず無愛想な表情をしている。だが今日は、そこへ僅かに同情も混じっていた。
「話を聞いた。私も、力になろう」
「そっか……ありがと。あんたは、本当に頼りになるお侍様だね」
孫六の持つ落ち着いた気配は、乱れた大海に安心感を与える。大海は座ると孫六に頭を下げ、感謝を口にした。
「……別に、侍だから力を貸す訳じゃない」
「それでも、礼を言わせとくれ。力添え、感謝するよ」
孫六は顔を僅かに赤く染めると、唇を突き出しそっぽを向く。照れた姿は、可愛らしい少年そのものだった。
そこで半兵衛が咳払いして、話を変える。皆半兵衛に耳を傾け、真剣な目を向けた。
「では一度状況を整理しましょう。事件が起きたのは、夜中。市松が侵入し、小夜さんを朝方まで犯した――彼は満足するとそのまま部屋を出ていったそうですね」