この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第21章 急転
半兵衛の言葉に、志麻は頷き補足する。
「その後小夜さんは、近くの部屋の侍女まで助けを求め、そこで事件が明るみに出ました。しかし……」
「あたし、市松が犯人だなんて信じられないよ。あいつはちょっと短絡的なところがあるけど、人の気持ちを踏みにじるような奴じゃない」
だが半兵衛は、苦い顔をして大海に訊ねた。
「しかし、大海。つい先日、あなたは市松に乱暴されましたよね? 彼は充分、疑われるだけの行動を取っていますよ」
「それは……」
大海が口をつぐめば、志麻が身を乗り出し半兵衛に訴える。志麻の悲壮な訴えは、誰よりも市松を信じるものだった。
「あの子は不実を働くような子ではありません! あの子は、大海さん、あなたを真剣に愛しているんです。その市松さんが、他の女へ戯れにでも手を出すはずがありません」
「志麻、あなたは少々市松を贔屓するきらいがあります。信じたい気持ちは分かりますが……」
「違います! 私……相談を受けたんです。先日の件で大海に謝りたいから、知恵を貸してほしいって。私があの子を甘やかした結果だというのに、あの子は恨み言もなく私を頼ってくれて……」