この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第21章 急転
半兵衛も立ち上がり、大海もそれに続こうと腰を上げる。だが孫六は大海を見上げ、それを止めた。
「待て。少し話がある。付き合ってくれ」
「話? そりゃ、構わないけど」
「それでは大海さん、また後で。一段落したら、またこちらへ集まりましょう」
半兵衛は軽く会釈すると、部屋から出て行く。残った孫六は大海を座らせると、大海の膝を枕に寝転んだ。
「孫六?」
こんな時に何事かと訊ねれば、孫六は大海の顔を下から覗き込み、頬に触れる。
「目の下が黒い。顔色も良くない。寝ていない人間の顔だ」
「それは……」
「志麻と半兵衛様に任せれば、すぐに真実は分かる。ならば、昼寝でもして報せを待て」
「けど、あたしだって動いた方が、もっと早く事が済むじゃないか」
「私は頭をどけるつもりはないぞ。重しをしてないと、この足はどこかに飛んでいくだろうからな」
孫六はふてぶてしく言うと、目を閉じる。これでは大海を休ませるためというよりは、孫六が休みたいだけのように見える。足は動きたくてうずうずするが、孫六の頭を床に落とすのも躊躇われた。