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戦国ラブドール
第21章 急転
「小夜、聞いとくれ! あんたは、勘違いしてたんだ!」
空が赤くなった頃、大海は慌てて自分の部屋に戻る。眠っていた小夜を起こし肩を押さえると、勢いのまま語った。
「今回の件、犯人は市松じゃない。夜中や明け方、市松の屋敷で馬鹿でかい『いびき』を聞いた奴がいたんだ。寝ていたあいつに、小夜へ酷い事は出来なかったんだよ」
「……お姉ちゃん?」
「大丈夫、あんたが見間違えたのは仕方ない事だって、皆分かってる。悪いのは、卑劣な真犯人ただ一人だ。絶対とっ捕まえてひっぱたいてやるから――」
「お姉ちゃん、どうしてそんな事言うの……?」
小夜が暗い顔をしているのに気付き、大海はようやく勢いのまま語るのを止める。小夜は瞳を潤ませながら大海を睨み、大海の手を払った。
「ずっと小夜のそばにいるって言ったのに、わたしを放って……わたしを、疑ったの?」
「疑う……?」
「市松が犯人じゃないって、調べたんでしょ? わたしが嘘つきじゃないかって疑ったから、調べたんじゃないの!?」
思わぬ小夜の詰問に、大海は動揺を隠せなかった。そんなつもりはなかったが、小夜の言葉に疑問を抱いたのも、また事実なのだから。