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戦国ラブドール
第21章 急転
「それでも、あたしは大事な妹の気持ちだけは分かってやらなきゃならなかったんだ。なのに、全然分からなかったんだ……姉失格だよ」
「――失格なんてあるもんか! そんなに妹を心配してる姉ちゃんが失格なら、世の中どこを探してもいい姉貴なんかいねえよ!」
市松は大海の頬を掴むと、強引に顔を上げさせる。泣き腫れて真っ赤になった目は、決して美しいものではない。だが市松は、澄ました顔より今の顔の方に心を動かされていた。
「姉妹なんだから、生きてりゃ喧嘩の一つや二つくらいするだろ! 悪いと思うなら、悪いと思った所だけはしっかり反省して、もう一回謝りに行けばいいだけだ。本当に絆のある姉妹なら、絶対にそれで許してくれる!」
「市松……」
「踏み出す勇気がないって言うなら……俺がいるだろ。一緒に行って、一緒に謝ってやる! お前は一人じゃないんだ、落ち込んだ時くらい、誰かに手を借りてもいいじゃないか」
すると、庭の方から、人影が二つ現れる。やってきたのは、虎之助と孫六。虎之助は市松の手を大海から引き剥がすと頭を小突き、呆れた目を向けた。