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戦国ラブドール
第21章 急転
「お前が一緒に行ったら、話が尋常じゃなく拗れるだけだろ。小夜に嫌われてる事、忘れるなよ」
「虎之助、それに孫六も、なんでここにいるんだよ」
「惚れた女の心配をして、何か問題でもあるか? いてもたってもいられねえのは、お前だけじゃねぇよ」
そして孫六は大海の隣に腰掛けると、相変わらずの無表情のまま語る。
「皆、心配している。小夜が心配なのはもちろんだが、お前も心配だ。やっぱり、顔を出して正解だった」
「皆……ごめん」
またうつむきそうになる大海だが、前に立つ虎之助が口を開けば、自分が座っている事もあり目が合わない。人の目を見て話を聞け、と躾られた大海は、無意識に顔を上げた。
一人では、下を向く事しか出来なかった夜。虎之助越しに輝く星に、大海はようやく気が付いた。
「大海、市松の馬鹿は連れていけないにしても、俺も孫六も、考えは一緒だ。お前は一人じゃない、道に迷った時は、俺達がついている」
「私も、共に行こう。日に日に寒くなっている、また身投げでもされたら、流石に助けるのも骨だろうからな」