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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
「確かに、俺が大海なら迷いなく孫を選ぶな」
「でしょう? だから、これでいいんですよ」
「虎之助! お前俺を裏切るつもりかよっ!」
「裏切りじゃない、当然の結論だ。なあ孫」
虎之助は何気なく声を掛けるが、孫六は答えない。
「孫?」
「……うるさい、静かにしろと言っているのに、聞こえないのか」
冷たい孫六の一言に、虎之助は落ち込み膝を抱える。無愛想な態度はいつもの事なので、皆孫六がこの時、内心かなり乱れていた事には気が付いていなかった。
「しかし、こんなところで寝たら、寒くて病に掛かりそうですなぁ。なんかよく分かりませんが、志麻さんの所にいたんでしたっけ? 送りましょうか」
「だったら僕が連れてく。なんで行長が勝手に決めるのさ」
「大海さん、身長ありますから運ぶの大変ですよ? あなた方のように小さな方が、起こさずに抱き上げられますか?」
体格を持ち出されれば、吉継に佐吉、孫六は口をつぐむしかない。だがその言い訳は、市松と虎之助には逆効果であった。
「行長、だったらこの中でそこそこ高さがあって、なにより一番逞しい俺が運ぶべきだろ」