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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
その一言は、佐吉や吉継、そしてまだ腕相撲の決着が着いていなかった虎之助までもを硬直させる。特に動揺したのは虎之助で、思わず振り向いてしまう。
「孫、今のはどういう――」
「隙あり!」
だが、孫六の言葉を全く聞いていなかった市松が、力の抜けた虎之助の腕を床に倒してしまった。
「よっしゃー、俺の勝ち! じゃあ大海は――ぎゃぶっ!」
立ち上がろうとした市松だが、行長に背中を踏まれて潰れてしまう。行長は市松を見下ろすと、胸に下げた十字の飾りを握った。
「ああデウスよ、私に勝利をお与えくださった事、感謝します」
「てめぇ、行長っ!! 足蹴にするたぁいい度胸じゃねぇか!!」
「一番強い人が勝ちなんでしょ? なら今あなたを倒した私が、一番強いって事じゃないですか。この乱世、どこから伏兵が飛び出してくるかは分かりません。油断は禁物ですよ」
だが市松は怒りで顔を真っ赤にして、行長を跳ね退け立ち上がる。真っ向から殴り合いになれば、敵わないのは明らか。行長は孫六の背中に隠れると、孫六を焚き付けた。
「さあ孫六さん、あれを倒せば最強の称号が手に入りますよ! ぜひ撃破して、武勇を高めてください!」