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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
 
「なぜ私が、お前の尻拭いをしてやらなければならないんだ。断る」

「そんないけずな事言わないで! 孫六さん、強くなりたいでしょ?」

「それとこれとは話が別だ」

 孫六は上半身を横に傾け、市松を通す。そして市松は鬼の形相で行長の首根っこを掴むと、ずるずると引きずり出した。

「ぎゃー、誰か助けてー!! ぼっこぼこにされちゃいますーっ!!」

 だが、自業自得の行長に手を差し出す者はない。しかしその悲鳴は、眠っていた大海をとうとう起こしてしまった。

「ん……」

 目を覚ました大海の髪を手で梳きながら、孫六は声を掛ける。

「すまない、うるさかったな」

「ううん。ごめん……あたし、また寝てたんだね。しかも、またお侍様を枕にしちゃって」

「構わない。特に嫌な気はしない」

 むしろ孫六は、大海が起き上がるその時の方に寂しさを覚えていた。が、大海はそんな内心も知らず孫六から離れてしまう。

「大海さん、あなたなら私を助けてくれますよね!? 市松さんの魔の手から、私を守ってください!」

 するとすかさず、行長が大海の胸に飛び込み抱き付く。
 
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