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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
「行長、どさくさに紛れて大海に触ってんじゃねぇよ! マジでぶっ飛ばすぞゴラァ!」
「ああ、寝起きに野蛮な人間の吠える声が響くとは、大海さんも気の毒に。でも大丈夫、私が隅から隅まで慰めてあげますから」
胸に顔を埋め、手を尻の方へ伸ばそうとすれば、市松だけでなく虎之助も目をつり上げる。二人で行長を引き剥がすと、囲みながら拳の節を鳴らした。
「あんたら、その辺にしてやりなよ。本気で暴力沙汰になったら、可哀想だろ?」
「大海さん、さすがは私のマリア!」
「あんたもあんたで、その軽口を控えないから怒られるんだろ。もうちょっと真面目になりなよ」
「おっと、これは痛い一言で」
行長は可愛こぶってを舌を出し、まったく反省の色を見せない。呆れた市松と虎之助はその場に座り、拳を収めた。
すると今度は、背後から吉継が抱きついてくる。
「大海の名裁き、お見事だね! さすがは僕のお嫁さんだ」
無遠慮に近付く吉継に、孫六は口を尖らせ眉をひそめ睨みつけた。
「大海は、お前の嫁ではない」
「ん? もしかして孫六、嫉妬してる? そうだよね、孫六も大海が好きだもんね」