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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
大海本人の前で暴露されると、孫六は普段の無表情も崩れうろたえる。慌てて吉継を引き剥がし口を塞ぐが、出た言葉は今さら戻らなかった。
「お、大海! これはただの酔っ払いだ、妄言は気にするな」
「え? ああ、分かった」
だが大海があっさり頷けば、それはそれで孫六の心にもやが残る。だが僅かに曇る表情も、孫六を振り払った吉継の笑い声にかき消されてしまった。
「別に否定しなくてもいいのにね。僕らはみーんな大海が大好きで仕方ないんだから」
「なんだかよく分からないけど、あんまり酒を飲み過ぎるのはよくないんじゃないかい? あんた、体が強い訳じゃないし」
「心配してくれてるの? 大海も佐吉とおんなじ、優しいね」
孫六の時は静観していた佐吉だが、自分に飛び火しそうになれば冷や汗をかく。何か余計な事を言われる前にと、宴の肴として持ち込まれた柿を吉継の口に突っ込んだ。
「甘い……なに佐吉、柿は毒なんじゃなかったの? 暗殺? これ暗殺なの?」
「いいから黙って食え。好きなんだろ」
「ん、僕の好きな物は、柿とー、大海とー、佐吉とー、むぐっ!?」