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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
束の間の夢も終わり、迎えた朝。大海の一歩を支えようと、結局六人全員が共に小夜の籠もる部屋まで向かっていた。小夜を刺激しかねない市松と、顔を合わせる事を何故か辞退した吉継は曲がり角から見守り、四人が大海に付き添う。
部屋の前で見張っていたのは、侍女の中でも一番新人の、喉が悪いと常に口元を隠した女、さくやだった。
「すまないね、あんた、体が弱いのに」
「いいえ、これも仕事ですから。それに皆で交代しながら見てましたから、大丈夫です」
さくやはそう言うが、少し無理をしているのか声が低くかすれ気味である。動揺していた小夜から目を離せば、衝動のまま身投げでもしかねない。見張りをつけてくれた志麻には感謝を抱くが、同時に申し訳なくもあった。
「小夜、あたしだけど……入ってもいいかい?」
大海は襖の前に立ち、中の小夜へ呼び掛ける。しかし返事はなく、力を入れても襖は開かなかった。
「大海さん、一回襖、外しちゃいましょうか? 小夜さんも、腹が減ったり用を足したくなったら、自分から出てくるかもしれませんが……」