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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
「あたしが囮になって敵を誘い出す、って訳にもいかないか」
「お小夜ちゃんが健在なら、囮って手もあっただろうね。けれどもう遅い、今の君に出来る最善は、とにかく人目のつくところにいて、攫われないよう防御する事だ」
「……紅天狗の事、話してくれたら、囮でもなんでもしたのに」
「君が簡単にそう言い出すと思ったから、逆に皆心配になって隠してたんだよ。文句言ったら、皆に失礼だよ?」
吉継は当初の評定に参加していないが、おそらくそんな理由だとあたりをつけて話す。大海は自分の失言に眉を下げると、皆へ頭を下げた。
「ごめん、あたし、皆の気遣いも無視して、勝手な事ばっかり……」
真っ先に答えたのは、虎之助だった。虎之助は大海へ顔を上げるよう言うと、首を横に振る。
「いや、もしかすると、お前を信じて協力するのが正解だったのかもしれない。お前が離れた隙を突かれて小夜が誑かされたのだとすれば、小夜とお前を遠ざけた俺達の過ちだ」
「そんな、あんたが後悔する事じゃないよ! 確かにあんたらの心配する通り、無茶して下手こいたかもしれない。多分話を聞かされてたら、あたしは頭に血が上ってたと思うし」