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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
「すいません、吉継と、個人的に話がしたいんです。今日は別の誰かが、大海についてくれませんか?」
半兵衛の提案に、吉継は驚き目を丸くする。そもそも今日同席したのも驚きではあったのだが、それは大海のため、それも大人数だからこそ。吉継はそう思っていた。だが半兵衛は、真っ直ぐ吉継と目を合わせようとしていた。
珍しく言葉に詰まる吉継を見て、佐吉は溜め息を漏らす。そして大海の手を吉継から奪って立ち上がると、先に部屋から離脱した。
「それなら、今日は俺がこいつを見張る。志麻の部屋に、引き続き世話になるよう話してくる」
「佐吉さん、あなたで大丈夫ですか? そりゃ志麻さんに頼むのが一番でしょうが、余計な事言って怒らせたりしません?」
「この緊急時に、私情で怒るような女は侍女頭として不適格だ。奴が真に度量のある人間なら、問題はないはずだ」
「そういう高圧的な態度が、いらない争いを生むんですけどね……」
だが佐吉は行長を無視し、大海を連れて出ていってしまう。行長は頭を抱えると、市松に目を配った。
「市松さん、あなたも追いかけてください。あの調子では、色々と心配です」