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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
 
 志麻が最も溺愛し意見に耳を傾けるのは、市松である。市松も不安を感じていたのか頷くと、すぐに席を立った。

 虎之助は、ずっと黙ったままの高虎に耳打ちし、立ち上がる。

「俺も、高虎さんと話がある。行長、今日の所は休んで、明日に備えろよ」

「言われなくともそのつもりですよ。さて……すぐに、手がかりが見つかればいいんですけどね」

 虎之助と高虎が部屋を出ていくのを見届けると、行長も続けて戻っていく。部屋に残されたのは、吉継と半兵衛だけになった。

「……半兵衛様、その、お話とは」

 吉継は半兵衛に向き合う形で座り直すと、改めて訊ねる。もう二度と結ばれる事のないと思っていた縁。心臓が、自然と高鳴っていた。

 新たな方向に向かって、静かに皆動き出す。だがそれが正しい方向なのかどうかは、まだ誰にも分からない。そして、一人別の方向へひた走る者もいる。

 孫六は夜も更けたというのに、腰に刀を下げ門へと向かっていた。その途中に、人影を見つける。

「こんな時間に、何をしている?」

 歩いていたのは、侍女の一人であるさくやであった。
 
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