この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
志麻が最も溺愛し意見に耳を傾けるのは、市松である。市松も不安を感じていたのか頷くと、すぐに席を立った。
虎之助は、ずっと黙ったままの高虎に耳打ちし、立ち上がる。
「俺も、高虎さんと話がある。行長、今日の所は休んで、明日に備えろよ」
「言われなくともそのつもりですよ。さて……すぐに、手がかりが見つかればいいんですけどね」
虎之助と高虎が部屋を出ていくのを見届けると、行長も続けて戻っていく。部屋に残されたのは、吉継と半兵衛だけになった。
「……半兵衛様、その、お話とは」
吉継は半兵衛に向き合う形で座り直すと、改めて訊ねる。もう二度と結ばれる事のないと思っていた縁。心臓が、自然と高鳴っていた。
新たな方向に向かって、静かに皆動き出す。だがそれが正しい方向なのかどうかは、まだ誰にも分からない。そして、一人別の方向へひた走る者もいる。
孫六は夜も更けたというのに、腰に刀を下げ門へと向かっていた。その途中に、人影を見つける。
「こんな時間に、何をしている?」
歩いていたのは、侍女の一人であるさくやであった。