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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
 
 孫六はそれでも謙遜し、首を振る。そんな控えめな態度も、町人からすれば好感が持てるものだった。

「最近はよく冷える、気を付けよ」

 孫六は警備員を気遣いお辞儀して、再び夜の見回りに戻る。小さいながら張り切る若武者に、町人は温かく背中を見送った。

 だが同時に、曲がり角を曲がったその時、道の陰の方から、不自然な明かりが複数見えた。明かりはゆっくりと孫六を追い、角の向こうへ消えていった。

「なんだ、ありゃ……」

 不思議に思った警備員は、雇い主である商家の主人の元へすぐに報告へ向かう。怪しい明かりといえども、持ち場を断りなく離れる訳にはいかない。すぐに追いかける事は出来なかったのだ。

 話を聞いた主人は、自分が自ら見に行くと立ち上がった。町の治安は、孫六の活躍ですこぶる良い。夜中でも、多少出歩くくらいなら大丈夫だろうと踏んでいたのだ。

 主人がそう言い出したのだから、警備員も止められはしない。家の守りを任され、主人を見送った。

 商家の主人もまた、孫六の評判を耳にしていた。馬飼いから武士となり、町へ下りてきては悪人をばったばったとなぎ倒す、それは物語の主人公のような存在だったのだ。
 
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