この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
どんな顔をしていて、どんな声で話すのか。自ら動いたのは、全くのところ好奇心だった。
だがそれは、曲がり角を曲がった先で不安に変わる。先の道で光る、提灯の明かり。それは遠くから見えるだけでも十を越え、二十はありそうな程集まっていた。そして聞こえてくる、不審な声。主人は提灯の明かりを消して物陰に身を隠しながら、そっとそちらへ近付いた。
声がはっきり聞き取れる距離まで近付いて、主人は仰天する。一人を取り囲み、襲っているのは紅天狗。最近は身を潜め姿を消していた彼らが、おそらく総勢で集まっていた。
「殺すなよ、このガキは、大事な人質だ」
さして年のいってない若者の声が、耳に入る。赤い頭巾を被った連中ではなく、一人だけ顔を晒した男が放った言葉のようだった。
囲まれている者――おそらくは孫六の姿は紅天狗に阻まれて見えないが、たびたび聞こえる男達の悲鳴や怒声からすると、抵抗しているのは違いないようだった。よくよく見れば、近くには頭巾の男が何人も倒れている。おそらくは、孫六が一人で倒したのだろう。
助太刀するにも、主人では力がない。屋敷へ戻り皆を呼ぼうかと思ったその時、また紅天狗の声が響いた。