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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
「やっと捕まえたか。ったく、このガキめ、化け物か? 誰か、死んだ奴はいないだろうな」
「赤月さん、大丈夫っすよ。皆怪我はしてますが、命に別状はありやせん」
「戻ったら、まずは薬の調合からだな。あーあ、黒月がいれば、大量にぱぱっと作ってくれるんだがな……」
いかな勇士でも、大勢に囲まれ袋叩きにされれば、力が及ばなかったようだ。殴り合いの音は止み、紅天狗は負傷者を抱えながら、どこかへと移動を始めた。
立ち去る間際、「あかつき」と呼ばれていた頭巾を被っていない男が、道に何かを投げる。主人は紅天狗が立ち去るのを確認してから、投げた物を確認するため表に出た。
紅天狗の後を追うにしても、力のない主人では限界がある。連れ去られる人物が、一人から二人に増えては元も子もない。「殺すな、人質だ」と言っていたのなら、おそらくすぐに紅天狗が孫六へ危害は加えないだろうと信じるしかなかった。
再び明かりをつけてよく現場を見てみれば、地面には血が飛び散っている。ただ、誰の血かは分からないが、命に関わる程の量ではない。そして、男が投げた物、赤い布を拾い上げた。