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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
商人にこの件を外へ漏らさぬようきつく命じ、虎之助は他の五人、そして高虎に声を掛けて集める。すると誰が声を掛けたのかは分からないが半兵衛も顔を出し、八人でまた評定が始まった。
「――という訳で、孫六が捕らわれた。紅天狗は、孫六と引き換えに大海を渡せと言っている」
その知らせを聞いて、真っ先に渋い顔をしたのは佐吉だった。
「勝手に動き勝手に捕まるとは、はた迷惑な奴だ。いっそ放っておけばいいんじゃないか」
冷たい言い草に虎之助が目を釣り上げるが、それを察した吉継が怒鳴り声より早く口を開く。
「駄目だよ佐吉、放って孫六が殺されでもしたら、長浜の武士達が民に相当な反感を持たれるよ」
「民が?」
「よく考えなよ。孫六は、ずっと町を見回ってたんでしょ? 町人達からすれば、孫六は英雄だ。それを女のために見捨てたとなれば、今度は僕達が悪人にされちゃう」
「ちっ、ますます面倒じゃないか」
「まあ、だからこそ紅天狗も、孫六が気に食わなかったんだと思うけどね。奴らの目的は多分、略奪と自己顕示。正しい行いをして、皆から敬愛される人間なんて、後ろ暗い自分達を全否定する存在でしょ」