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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
すると話を聞いていた半兵衛が、首を傾げながら呟く。
「……むしろ、孫六は確信犯だったのかもしれません」
「確信犯? 半兵衛様、それは」
「紅天狗にとって一番煩わしいのは、吉継の言う通り正しい事をして慕われる人物でしょう。そしてそんな人物を演じていれば、紅天狗は己の矜持を守ろうと孫六を引きずり下ろそうと企むはず。そこまで読んで、囮となったのかもしれません」
半兵衛の推測を、高虎は鼻で笑う。相変わらず半兵衛へ不信の目を向けた高虎は、自信げに語った。
「かもしれないじゃなく、間違いなくそうだ。あの生意気なガキが、ただ下手をこいて捕まるはずがない」
「間違いないとは、彼を心から信頼したような言い方ですね。あなたは、孫六とは馬が合わないように見えましたが」
「はっ、生意気なガキなんざ嫌いに決まってるだろ。だがな、個人的な感情と能力の評価は別物だ。あれは、俺を恐れもせず喧嘩を売るような肝の持ち主だ。自ら囮になるくらい、簡単にやってのけるさ」
半兵衛を一蹴すると、高虎は暗い顔をする一同へ声を掛けた。