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戦国ラブドール
第24章 赤壁の戦い②
乱暴に弄ばれた体は怠く、小夜は目を閉じようとする。だが土間の方から声がするのに気付き、顔を上げた。
「おい、起きているか?」
「あなたは……」
「私の事は覚えていないか? 加藤孫六、長浜の武士だ」
紅天狗が誰か連れてきたのは覚えているが、その時は香を嗅がされ意識が混濁していたため、詳しい事は何も記憶になかった。ずっと土間にいたのだと知れば、小夜の頭をよぎるのは羞恥。小夜が言葉を詰まらせると、孫六は悟り冷静に声を掛けた。
「ここからでは、そちらはおろか何も見えない。今、見張りは寝ている賊一人だけか?」
「は、はい。後の人は……皆出ていきました」
見えないと言われ、小夜は内心安堵する。どうせ声は聞こえているだろうが、出来れば少しでも狂った自分は知られたくなかった。土間に転がされたままでは哀れであるが、そのまま寝ていてもらいたいと思ってしまった。
「大海はお前が攫われて、酷く消沈していた。お前が無事で帰らなければ、切腹する勢いだろう。今すぐ助けられなくてすまない。だが、今は機を信じ耐えてくれ」