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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
「何か失礼を言われるのは、変えられない前提なのかい」
「それを止めるのは僕でも無理だよ。佐吉が本気で危機感を抱かない限りはね」
「はあ……分かったよ。なんだかよく分からないけど、約束する」
「よろしく頼むよ。ただでさえ、佐吉は色んな人間に嫌われてるからね」
吉継はそう言いながら立ち上がると、部屋に転がっていた柿を全部大きめの手拭いに包み、大海へ渡す。もう帰っても構わないという事なのだろうが、大海は一つだけ聞きたかった疑問をぶつけた。
「嫌われてるって、子飼いの派閥ってやつなのかい? 志麻さんを見てもそうだけど、そんなにあんたらは深刻なのか」
佐吉が吉継と関わりがある若い武士ならば、恐らく彼も子飼いの一人だ。それも近江に来てから引き抜かれた派閥の人間だろう。生きていればどこにでも対立は生まれるが、同じ家の中でそんなにも真っ二つに別れているとは、大海には想像し難いものだった。
「うーん……まあ、下手すれば日本を二つに分けて大合戦になるくらい仲が悪いかもね」
「そ、そんなに?」
「あくまで例えだよ? 秀吉様が気を配ってくださる限りは大丈夫。今の僕達に合戦する程力もないし」