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戦国ラブドール
第24章 赤壁の戦い②
「散りゆく命にあなたを付き合わせるなんて、身勝手だと抑制してきました。しかし――あなたが全てを捨てると頷いてくれるなら、私も己に残る道理を全て捨てましょう。あなたが欲しいと、そう望む本能のまま生きていきます」
「は、半兵衛殿、それは……」
「大海、今すぐ答えなさい」
半兵衛が厳しい声を上げれば、躾られた名残か、肩が震える。腕の中に捕らわれた今、ごまかす事は出来なかった。
「……ごめんなさい。小夜が……きっと今も泣いています。あの子は泣き虫だから、今頃あたしの名を呼びながら泣いているはずです。他の何を捨てても――あの子だけは」
するとその瞬間、大海の首の後ろから痛みが走る。細いものが突き立てられ、皮膚を破り肉に食い込む感触。血が垂れるのも、熱で感じ取った。
「あっ……」
「安心してください、少しの間眠るだけです。目が覚めた頃には、全て終わっていますから」
半兵衛の目に宿るのは、目的のためなら何をしても構わないと言いたげな冷徹な感情。しかし不審だと思っても、既に手遅れだった。大海の体は意志に反して力を失い、半兵衛に寄りかかる。瞼が勝手に閉じ、意識も遠退いていった。