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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
逃げ出す者も誰一人逃さず、制圧していく。小細工のない力勝負は、一刻も立たずに決着が着こうとしていた。
赤月は他の紅天狗を盾に、隙を見て裏から逃げ出そうとする。それを遮ったのは、眠らせて縛っていたはずの孫六だった。
「お前、どうして……!」
土間を横目で確認すれば、誰かが縄を解いて投げ捨てた跡がある。だが薬は、まだ効いているはずだった。
「悪いな。私の特技は、狸寝入りだ」
「ちっ……こんなところで、終わってたまるかよ!」
赤月は懐に手を突っ込むと、粉を取り出す。
「同じ手が、そう何度も通用すると思うなっ!!」
だが、それを撒くより早く孫六が赤月を殴り倒す。のけぞった隙に腕を蹴り飛ばし粉を奪うと、うつ伏せにさせて腕を捻った。
「誰が尻で成り上がっただと? 散々好き勝手言いやがって……そうでなくとも、お前達は全員殴り飛ばすと約束した。生きて家に戻れると思うな!!」
大将である赤月の捕縛に、紅天狗はもはや成すすべがなかった。一人残さず縄を掛けたが、子飼い達は、それだけで勝利とは言い切れなかった。