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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
「お小夜ちゃん、大丈夫か!?」
柱に縛られた小夜を救ったのは、市松だった。小夜に激しく嫌われていると自覚しながら真っ先に動いてしまう軽挙に虎之介は慌てるが、小夜は市松を前にしても怒りは見せなかった。
「わたし……あなたにひどい事をしたのに、どうして」
「ひどい事? よく分かんないが、無事か? って……いや、無事じゃないよな」
裸にされ、乱暴された跡が残っているのだから、無事な訳がない。市松は自分の着物を小夜に掛けて、体を隠してやった。
「ごめんなさい……わたし、わたし――」
小夜が泣き崩れれば、市松は慌てて虎之助に助けを求める。が、間に入ったのは虎之助ではなく、孫六の方だった。
「市松はそういう性分の男なのだ。単純で、酒癖が悪く勢いで動き失敗する。だが、根は気がいい」
「孫六さん!」
小夜は孫六に抱きつき、大声で泣きはらす。するともらい泣きした市松は、小夜ごと孫六を抱擁した。
「よく分からないが……助かってよかった! お前達は、よく頑張った!」
「暑苦しい、離れろ市松」
虎之助はそれを傍から見守り、まだ眠る大海の方へ目を向ける。そちらは、佐吉達が無事に保護していた。