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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
「さあ、私には心当たりがありませんが」
「じゃあ、小夜に直接聞いてみるか? おい、お前が恋仲だったのは、誰だったんだ?」
突然怒りの混じった声が飛んできて、小夜は肩を震わせる。だが孫六に縋りながら、小さい声で返した。
「わ、わたし……半兵衛さんと、お付き合いしていました」
「――だとさ。城でも、相手は半兵衛だと、もっぱらの噂だった。中には二人が外で恥じらいもなくまぐわっていたのを目撃した者もいた。小夜をそそのかし誤った道へ走らせ、紅天狗へ内通していたのは――お前だ」
虎之助は縄を取り出すと、半兵衛の手首にそれを掛ける。半兵衛は抵抗しなかったが、縄を掛けた虎之助の方が苦い顔をしていた。高虎はようやく帯刀すると、虎之助から縄を奪った。
「城で、詳しい話を聞かせてもらう。言い逃れは、もう通用しないぞ」
紅天狗の確保、そして人質の奪還。全て終わったはずだが、皆の心に晴れやかな気持ちは生まれなかった。
大海はまだ、深く眠りにつき真実を知らない。小夜や子飼い達と共に城へ戻っても、一晩目覚める事はなかった。