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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
「秀吉さまっ……お姉ちゃんが、帰ってきます、やめて……あぁんっ!」
「今頃あやつも、どこぞの男の下で鳴いておるよ。ほら、構わず気をやってしまえ」
「んっ……あ、いい、秀吉さま、気持ち良いです……っ」
暗いため姿は見えないが、影は絡み蠢いている。欲望に染まる猿の手によって艶を出すのは、紛れもなく小夜である。襖に掛けたままの手は震え、中で広がる淫らな交わりに、指一本動かせなかった。
ぱちんと弾けるように、肌のぶつかる音がする。水音の混じる激しい性交は、見えなくとも小夜の乱れを想像させる。
「ああ……秀吉さまぁ、もっと、奥まで下さい……っ、ああっ!!」
小夜が、汚されている。この城に来た時点でそれは変えようのない運命であったが、自分の目でそれを直に見てしまえば、全身の血の気が引いた。
腹の奥から沸いてくるのは、秀吉への憎悪。だが今部屋へ飛び込み思いのまま秀吉を攻撃をすれば、危険なのは小夜の命だ。渦巻く憎悪と妹の危機を前にしても、大海はただ無力である。
「ああっ、秀吉さま……秀吉さまぁ!!」
おもねる女の声が、まるで大海を責める恨み言のように聞こえた。