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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
止まるつもりがないならば、人質は制裁を受けるもの。黒月が怒鳴れば、赤月は大海の手を強く握りくないを向けた。
「ぐっ……ああああぁっ!!」
親指の爪と肉の間に突き立てられるくないに、大海は絶叫する。同時に、滴る鮮血。それにたじろぎ手を止めたのは、吉継ではなく赤月だった。
赤月は手を震わせ、くないを落とす。真っ赤な血は、これが子どもの傾奇者なりきりではなく、男同士の対等な喧嘩でもなく、無抵抗の女子どもを蹂躙する、紛れもない罪だと赤月を責め立てた。
「赤月、手を止めるなっ!!」
「けど、血が……兄ちゃん、これじゃ、まるで俺達が悪者みたいじゃないか――」
黒月の気が逸れた瞬間を、吉継は見逃さなかった。素早く距離を詰めると、小太刀を前に突き出し、黒月の肩を思い切り貫いた。
「ぐわああっ……」
貫通した小太刀の刀身も、赤に塗れていた。引き抜けば、傷口から鮮血が噴き出す。
「兄ちゃんっ!!」
大海を離し駆け寄ろうとする赤月を、吉継は背中から袈裟斬りにする。よろめく赤月を蹴り飛ばし床に転がすと、吉継は怒声を上げた。
「血を恐れるような軽い覚悟で、世の中を変えるなんて戯れ言を語るな!!」