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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
倒れた二人を縄で縛り拘束すると、吉継は小太刀を収める。そして大海の元へ駆け寄ると、血に染まった手を握った。
「大海、ごめん。本当にごめん。こんな目に遭わせて、ごめん」
「はは……そんなに、謝らなくてもいいよ……あんたを、信じるって言っただろ。ちょっと……いや、かなり痛いけど、大丈夫」
痛みに顔を歪めながらも、大海は吉継を気遣い笑顔であろうとする。吉継は手拭いを取り出し引き裂くと、大海の親指にそれを巻き付け固く縛った。
「早く医者に看てもらおう。歩ける? ほら、肩貸すから」
「足は怪我してないから、大丈夫……ありがとう」
大海を支えて立ち上がった吉継は、きまりが悪そうに呟く。
「こんな時、君を抱き上げて連れ帰れたらいいのに。貧弱でごめんね」
「貧弱なんて卑下するんじゃないよ。それより……二人を、放っておいて大丈夫なのかい?」
大海が気にするのは、縛られた赤月と黒月。大怪我をした上で拘束されては逃げる術もないだろうが、自分のために放置するのも気が引けたのだ。
「城に戻ったら、すぐ誰かに回収してもらうから平気。それに……あの怪我で動いても、多分死ぬだけだから」