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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
確かに秀吉は、大海へ侍女を辞めても構わないと話している。堺へ行くのが大海の見つけた道ならば、それも良いと言っているのだろう。
簡単に頷けない選択の中、先に返事したのは小夜だった。
「わたし、一緒に行きたい。長浜は悪いだけの場所じゃないけど……半兵衛さんだって無実だったし、孫六さんもいるけど……でも、辛い記憶が多くて、怖いもの」
「そうか……大海は、どうする?」
「あ、あたしは……」
大海が答えを出せずにいると、父は苦笑いして大海の背中を叩く。
「大海は、残りたいか? そうだな、堺に行ったら、小西君と離れ離れになるからなぁ。好いた男と一緒にいたいか」
「好いた男って……何の話だい?」
「隠さなくてもいい。小西君と、恋仲なんだろう? 娘さんといいお付き合いをさせてもらってますって、丁寧に挨拶されたよ」
父へ軽口を叩き、平気な顔で嘘を吹き込む行長の姿が、大海の頭にはしっかり想像出来た。大海は拳を握ると、すぐさま勘違いを否定する。
「そんなのは、あいつの嘘だ! まったく……その気もないくせに、そんな嘘ばっかり。ちょっと、文句言ってくる!」