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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
「お、お姉ちゃん! もう夜だし、明日にしたら……」
「文句だけじゃなくて、ちょっと聞きたい事もあるから。すぐ戻るよ」
小夜はおろおろしながら大海の背中を見つめるが、父は苦笑いで見送る。そして、二人で同時に溜め息を漏らした。
「小西君も不憫だねぇ。隆佐殿が主導とはいえ、その気もない相手の父親を、わざわざ呼び寄せたりしないだろうに」
「お姉ちゃんは、昔からずっとそうだから……小西さんだけじゃないわ。周りの男の子皆お姉ちゃんの虜なのに、あんまり自覚がないみたいだし」
「もう行き遅れに近い歳なんだから、本腰入れて婿探しした方がいいと思うんだが……」
「でも、何人か男の子に求婚されてたから……もしかしたら、もう心に決めた人がいるかも」
「それはそれで、父親としては複雑だ」
自分から言い出しておきながら、眉間に皺を寄せる父の姿に、小夜は笑みをこぼす。
「小夜はまだ、お嫁には行かないから大丈夫。だってわたしが好きになった人は、皆お姉ちゃんが好きなんだもん」
するとますます複雑な顔をして、父は肩を落とす。娘はいずれ家を出るもの。理解はしていても、寂しい気持ちは拭えないようだった。