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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
 







「おや、こんな遅くに夜這いですか?」

 行長は、自宅ではなく城の書庫で、夜遅くにも関わらず何かの本を開いていた。相変わらず軽口の止まらない行長をじろりと睨むと、大海は口を開いた。

「あんた、あたしの父親に妙な嘘ついただろ。恋仲だなんて、悪い冗談はよしとくれ。あんたは軽口のつもりでも、向こうは本気にしちまうんだから」

「本気にしてもらって構いませんよ? いいじゃないですか。恋仲になれば、小西と月橋に太い繋がりが出来ます。うちの父も有能な人材を小西家に取り込めて、きっと大喜びですよ」

 身も蓋もない政略結婚の図に、大海は頭を抱える。だが本気でないのは、けたけた笑う姿を見れば明らかだった。

「まあ冗談はともかく、本題はなんです? まさかそんな事のために、わざわざやってきた訳じゃないでしょう」

「……秀吉の奴が、あたし達姉妹が暇を与えてもいいって言ったのは、本当かい?」

「ああ、それですか。もちろん本当ですよ。父親に手紙を出す時、報告ついでに秀吉様にも聞いたんです。別に姉妹が必ず城に必要な訳でもありませんし、家族で暮らす道もありではないかと」
 
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