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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
 
「そういえば……全く面白くない話ですが、紅天狗について、一つ話を聞きました」

「なんだい、突然」

「まあ、聞くだけ聞いてくださいよ。実はあの赤月とかいう奴と黒月は、兄弟だったらしいんです。親を亡くした孤児で、忍び崩れの男に育てられたとか」

「ああ……だから、薬の扱いに長けていた訳か」

 ただの賊にしてはやけに詳しいと思っていたが、そういう話なら頷ける。大海が何気なく頷けば、さらに行長は続けた。

「どうやら親は近江じゃなかなかの豪商だったらしいんですが、時代の流れのせいか、はたまた主人の手腕がまずかったのか、店を潰してしまったらしいんです。まあ、近江も決して平和な土地ではありませんから、何か読み違えてしまったのでしょう」

「もしかして、親を潰したのは武士が悪いんだとか言うつもりじゃないだろうね」

「残念ながらその通り。奴らの武士に対する嫌悪や犯行は、その辺りにあるようですね」

「そういえば、赤月の方がさ、最後言ってたんだ。これじゃ、俺達が悪者みたいだって。人から物を盗んだり、攫ったり、犯したりする時点で充分悪者だと思うけど……あいつらは、革命のつもりだったのかもね」
 
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