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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
行長は大海を遮り口を挟むと、首から下げた十字を握った。
「あなた方姉妹は、この世にはびこる理不尽を前にしても、決して腐りませんでした。あなたの行動そのものが、奴らとは違うと証明しています。私が神に誓いましょう、あなた方の未来は、奴らとは全く正反対の明るい道であると」
それでもあまり気の晴れない大海に、行長は下げていた十字を外して大海の手に握らせる。
「ほら、神の御心は温かいでしょう? あなたの正しさを知っているから、温かく見守ってくださるんです」
「……温かいのは、あんたが握ったからじゃないのかい?」
「そんないけずな事言わないでくださいな、せっかく真面目に布教してみたんですから」
大海は、相変わらずの行長に笑い声をこぼしてしまう。大海が笑ったのを見れば、行長もつられて笑ってしまった。
「あははは、やっぱり大海さんは、こうでなくちゃ。しおらしくしている姿はそそりますが、笑っている方が素敵ですよ」
「はあ……あんたって奴は、どこまでも分からない男だね」
「それが私の魅力なんですよ、覚えておいてくださいな」