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戦国ラブドール
第26章 かわいそうなこどものおはなし
 
「半兵衛殿、ご無事でなによりです。良かった……」

「あなたこそ、怪我をしたと聞きましたが平気そうですね。ああ……これですか」

 半兵衛は大海の手を取ると、憂いの表情を見せる。

「痛くないって言ったら嘘ですけど、大丈夫です。こんなの、小夜が受けた傷に比べたらなんでもないですから」

「小夜さんは心配ですが、それと怪我は別問題です。あまり軽く見てはいけませんよ、悪化すれば、指を切断しなければならないかもしれません」

「う……気を付けます」

 半兵衛の脅し文句に強張ると、半兵衛は大海の頬に手を伸ばす。伝わる温もりは、大海の不安を和らげた。

「しかし……元はと言えば、この傷も私のせいです。さくやを泳がせろと吉継に命じたのは、私ですから」

「半兵衛殿が……?」

「ええ。私はさくやを疑っていましたが、追い詰める確実な証拠もありませんでした。ですから私が捕まり奴の気が緩んだその時を狙い、吉継に監視を頼んだのです。しかし泳がせるとは、すなわちあなたに危険が及ぶという事。それを分かって、私は吉継に命じたのです」
 
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