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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
「え? あ、いや、行こうって思ったけど、小夜が」
「お小夜ちゃんのために行くの!? この際はっきり言うけど、君のそれは駄目だよ! 優しいつもりで、かえって相手に負担を掛けてる。お小夜ちゃんも、自分のためなんて言われたって嬉しくないって!」
「だから、小夜に怒られたんだってば! ちょっと、落ち着いて聞いとくれよ!」
大海も負けじと大声を張ると、吉継はようやく耳を傾ける。
「お、怒られた?」
「さっきあんたが言った通り、あたしの優しさは小夜を駄目にするって。だから……小夜のために堺へは行かない事にしたんだよ」
「なんだ、そうならそうと、早く言ってよ。あー、焦った……」
「言う前に止めたのはあんたじゃないか……」
責められる事に納得が行かず、大海は唇を尖らせる。吉継はごまかすように笑うと、大海の頭を撫でた。
「ごめんごめん、まあ人は誰しも過ちを犯すものだから、ね?」
「別に過ちとは思ってないよ。止めてくれるの……ちょっと嬉しかったし」
草をむしる大海の手が、不意に止まる。顔を上げた大海は、冬の到来など感じさせないくらい赤く頬を染めていた。