この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第27章 未来への道に
「この地で生きて、出来る事を探そうって、髪を切っただろ? 小夜に言われて、本当に考える事が自分の事だけになって……ようやく答えが見つかったんだ」
「この地でどう生きていくのか……僕が聞いてもいいの?」
「あんたに聞いてほしいから、ここに来たんだ。最後まで、聞いてくれるかい?」
吉継が頷けば、大海は安堵し口元を緩める。だがすぐにまた緊張した顔に戻ると、いつもより控えめな声で話を始めた。
「ここに来て、色々あって……あたしは、いかに自分が力のない人間かよく分かった。紅天狗みたいな悪党を薙ぎ倒す事だって出来なかった」
「それは、君が悔しがる事じゃないよ。悪党を成敗するのは、武士の仕事だ」
「うん、分かってる。攻められればもちろん反旗は翻す覚悟だけれど、基本的にそれは武士の役目だ。あたしがするべき事じゃない。力を欲する事は、ここで生きるって事じゃないんだよ」
「じゃあ……君はどう生きたいの?」
「力はないけれど、あたしには考える頭がある。もちろん、何でも思い付けて全て知恵で解決出来るほど天才じゃないけどさ……少なくとも、力よりは役に立つはずさ」