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戦国ラブドール
第4章 子供の時間
だがそれを手に取ろうとしたその時、部屋の扉が声も掛けられず勢い良く開かれた。
「孫! さあ、早朝の鍛錬に行くぞ――」
嬉々として現れたのは、宴で大海を犯した男の一人――秀吉の親族である、虎之助だった。虎之助はしどけない姿の大海が目に入ると、下げていた目尻を一瞬で釣り上げる。敵を見つけた虎のように鋭く睨まれ、大海は一瞬怯んでしまった。
「お前……なんで、孫のところにいるんだ」
孫という名は、少年の愛称なのだろう。虎之助は少年にちらりと目を向けると、大海の肩を掴み壁に押し付けた。
「宴の場ならともかく、こんな子どもまで誑かして淫らな真似をしたのか!」
「ち……違う! あの子には、助けられただけだ!」
「助けられた? 孫が何も知らないのをいい事に、張り型代わりに使ったってのか!?」
「だから違うって――」
「じゃあ、この跡はなんだ!」
虎之助は大海の首を掴み、吉継が付けた口吸いの跡を強く押す。息が思うように出来ず目の前が霞むが、大海は声を絞り出した。
「この子は違う……なんにも悪い事なんか、してないっ!! これは……っ、吉継が……」