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戦国ラブドール
第4章 子供の時間
 
「吉継? ちっ……あの野郎、さっそく嗅ぎ付けやがったのか。で、お前は出会って間もないその吉継に股を開いた挙げ句、孫まで餌食にしようと誘惑したのか」

 やっと口にした弁明も、悪意混じりに解釈されてしまう。だがその時、孫と呼ばれた少年が、熱を持った火箸で虎之助の背中を打った。

「熱っちぃっ!!」

 虎之助は大海から手を離し飛び退き、背中をさする。

「孫! 悪戯が過ぎるぞ!」

「不躾な虎を黙らせるには、まだ足りないくらいだ」

 少年は火箸の先を扉に向けると、虎之助の脇腹を蹴り飛ばす。

「孫……俺は、お前をそんな無頼者に育てた記憶はないぞ!」

「私も下賎な獣に育てられた記憶はない。出ていけ、不愉快だ」

「ちょっと待て、そこまで怒るなよ! 俺より、そんな淫売の方がいいって言うのか!?」

 虎之助は、まるで別れを迎えた恋人へ縋る女のような問いを投げかけた。が、返ってきたのは少年の冷めた瞳と同じ、氷の一言だった。

「お前よりは大分ましだ」

「ぐっ……」

 はっきりとした拒絶に、虎之助は奥歯を噛み締め大海を睨む。

「覚えてろ、次会ったらただじゃ済まさねえからな!!」
 
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