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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
「う……ごもっともです」
「横からかっさらっていった事は認めるんだな」
「でも、大海は渡さないから」
吉継が大海の名を呼ぶたびに、佐吉は心臓が痛む。しかし吉継が落ち込んだ表情をしても、佐吉の胸は重く沈んでいた。
「人が先に目を付けたものを横取りしながら、これからも関係を続けたいなどと、虫がいい話だ。よく俺の前で言えるものだ」
「無茶を言っているのは、否定しないよ」
「ふん……だがな、きっと大海は、そんな虫のいいお前を、必ず許すだろう」
大海は二人の複雑な想いを知らず、静かな寝息を立てている。無駄に騒いだりしない限りは、起きる気配はなかった。
「この馬鹿は、婚約者がいながら他の女に欲情するような不届き者も許すのだ。その者の本質を知れば、一つの不逞だけで全てを失望する事はないとな」
「そう、そんな事言ってたんだ」
「お前は本当に恵まれた男だな。俺は、お前の本質をよく知っている。だから、大海の語った『許す』という言葉の意味が、よく分かる。俺は……お前を、嫌いにはなれん」
「佐吉……」
「感謝するなら、お前の未来の嫁にしておけ。俺に『許す』という理論を教えたのは、その女だ」