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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
佐吉は赤くなった頬をごまかすように背を向け、先程と同じ言葉を漏らす。
「また、後で来る」
「――分かった、待ってるから」
だが同じ言葉でも、今度は気まずさや棘がない。吉継が安堵した声を上げれば、佐吉の沈んだ気分は浮かび上がり、安らかな感情が広がった。
「だが吉継、藤堂や市松、虎之助にはしばらく恨まれる事は間違いないぞ。奴らに嫌味の一つや二つをこぼされても、俺は聞いてやらんからな」
「ああ……そういえばあいつらもいたんだっけ。こりゃ今日は、懺悔祭りかなぁ」
「それくらいは甘んじて受け入れろ。それ以上の幸福が得られるのだから、妬み嫉みなど軽いものだ」
せめての意趣返しなのか、佐吉は最後に嫌な話を残して出ていく。だがその背中を見送る吉継は、笑みが止まらなかった。
「いい友達と恋人に恵まれて、僕は幸せ者だね」
眠る大海の頭を撫でながら、吉継は一人呟く。返事こそないが、吉継には、大海もまた笑みを浮かべているように見えた。