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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
小さな明かりが灯る部屋の奥で、男泣きしながら杯を傾ける市松。虎之助はそんな市松を横目に、襖を半分閉めたまま孫六に頭を下げた。
「悪い、今日ぐらいは飲まなきゃやってられないだろうからな。孫六も酔ったあいつの相手は面倒だろ? また明日な」
そう語る虎之助もすでに出来上がっていて、酒の匂いを漂わせている。孫六が何か言う前に部屋の襖は閉められてしまい、孫六は門前払いにされてしまった。
行き場を無くした孫六は、あてもなく外を散歩する。そして行き着いた先は、稽古場。だがそこでは、先客が剣を振るっていた。
「おう、ガキが夜遊びとは感心しないな」
そこにいたのは、不倶戴天の敵である高虎だった。孫六はあからさまに顔を歪め引き返そうとするが、皮肉の言葉がその足を止めた。
「虎之助と市松から仲間外れにされたんだろ? ガキは大人しく家で寝たらどうだ」
「――そういうお前こそ、二人に混じってきたらどうだ? 大海に振られた者同士、傷を舐め合えばいい」
振られた、という言葉に、高虎も機嫌を損ねる。だが、それに反論は出来なかった。