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戦国ラブドール
第4章 子供の時間
「お前にも……酷い事を言った。身投げするくらい追い詰められてたのに、あんな事……」
「あたしは、別に良い。どんなに慰めてもらったって、事実あんたらの慰み者なんだ。そんな奴が大事な仲間のそばにいたら、怒るのは当たり前だ。あたしだって、小夜を思えば……」
小夜を思い出すとやはり堪えきれず、頬に涙が伝う。すると虎之助は立ち上がると、大海の肩を力強く押さえた。
「そ、そんな泣くな! 秀吉様は忙しい方だ、どうせすぐに戦地へと向かう。それまで辛抱すれば、妹は大丈夫だ。お前が悩む必要はない」
「けど、あたしはあんたみたいに、直接声を上げる事も出来ない臆病者だ。逃げたあたしに、小夜だって今頃失望してるに決まってる」
「失望なんかするもんか! 兄弟姉妹の絆ってのは、生まれた時から結び付いた固いものなんだ。妹はきっと見てるはずだ、今までお前が、どれだけ自分を想ってくれたのか」
虎之助の真っ直ぐな説得は、大海の暗い心に一筋の光を差す。そうであったらいい、と願う手が、止まらない涙を拭う。虎之助は大海の頭を引き寄せると、子どもをなだめるように抱きしめ背をさすった。